* 2 *
窓から光が差し込んでくる。
あたしの待ち望んでいた、新しい世界への旅立ちの光が。
朝!!!
グッドモーニング!!!
よーし、来た来た来たよご来光ぉーっ!
とっととっととはね起きて。
せっせか着替えて、ご飯も食べて。
おべんとリュックに詰め込んで。
ふっふっふ♪ 歩くよ歩くよーっ♪
ドアの向こうは・・・
うん。いー天気♪
空♪
道♪
お日さま♪
鳥さん♪
これで気分よく思わなきゃ、バチがあたるってもんよねーっ。
「じゃ、行ってくるねーっ!」
マントをばさりとひるがえし。
ステップ踏むように出ていったのでした。
そんなあたしを後ろから見送って眺めていた、我が家の三人の会話が、背中に届いてくる。
「止まんないね、ありゃ」
一つ年下の妹、タミカ。
「いーのー? チア、引き留めなくてさぁ。一人だけさぼって、もー! 今日の畑仕事、あたしらばっか増えちゃうじゃーん!」
「オレ、どーでもいい。オレは森にまき拾いに行くから、姉ちゃんあとよろしく」
三つ年下の弟、ケート。
「ダメー! 逃げるなー! ずるーい!」
「うるさいなぁ。あ、姉ちゃん、そのサンドイッチちょうだい」
「・・・・・・あんた、そんなに食べてよく太らないねー」
「うらやましい?」
「あたしだって太ってなんかなーいっ! あたしの勝手に食べるなー!」
「あらあらぁ、チアー、お夕飯までには帰ってくるのよ〜〜」
と、一番最後のは、お母さん。
・・・・・・ドア開けっぱなしだから聞こえちゃったわよ。
何よぅ、みんなしてーっ! せっかくのあたしの門出なのにーっ!
いいもん。
とにかく、道。
あーっ、気分いい! 今、自由に歩いてるんだ。
たった一本続く、町への道路。
うわー、前歩いたの、いつだったっけー?
この途中の隣村なら、お使いとかで、たま〜に行くけど。
一番近くの大きな町へ行ったことあるのは、小さい頃に数度きり。
だって遠いんだもーーん。(哀しや過疎地・・・・・・)
しかぁぁぁし!
あたし、もう大人。
歩いて行っちゃうもんねー♪
野宿も一人でやるの!
あああっ! 楽しそーーーっっっ!!!
考えるだけでわくわくするっ。
駆け出しそうな勢いで、たった一本、町へと続く道路をあたしは歩いたのだった。
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