私の中に抱えた『卵』
いびつな楕円でぐらぐら揺れては
内から私の胸を打つ


私の中に抱えた『卵』
厚く堅い殻で護ろうとした
そうして中身を隠していた


ひび割れるのを恐れて固く外を拒んだ


夜眠るたびに胸を抱き
囁きかける
大丈夫、きっとあなたは生まれてくる、と


私の熱は届いていますか
耳を塞いではいませんか


いつか翼に変わると信じる腕で
冷たく硬い、無言の石を抱きしめる

とくん
とくん

孵る鼓動は動いていますか


私の中に抱える『卵』
重くても決して投げ出すまい


形を持たない、殻の内のあなた
あなたはまだ生まれぬ私


急がなくていい
でも必ずかえりなさい


殻の内で翼の形を見つけて
空を目指して殻を破る


私の中に抱えた『卵』
長く応えなくても
私は捨てずに温め続ける


とくん
とくん


私の熱は届いていますか



殻を内から破ることができず
どろどろと流れる形の無い翼を
まさか腐らせてはいないか


私は死んだ卵を温めてやしないか
あまりにも遠い胎動に恐れを抱く


でも私は
自分の熱が消えないかぎり
抱いた『卵』のかえる日を待つ


いつか暁が夜の果てにかかる頃


必ず



朝日に燃える白い翼を広げ
新しく生まれ来る世界に

高く 鳴く






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