彩(いろ)の女神の操る色は
全て
この世で一番美しい色でした。
あるとき、彩の女神は、
緑色に飽きて
お気に入りのアジサイの葉を
赤、ピンク、蒼、黄、オレンジ、紫・・・
一枚一枚を いろんな色に変えました。
*
彩(いろ)の女神の操る色は
全て
この世で一番美しい色でした。
女神のアジサイの木は
葉を一枚一枚 色鮮やかに輝かせ
どんな芸術品にも勝る 美しい木になりました。
虹色に姿を変えたこの木は
この世のものとは思えぬ美しさです。
女神は その輝かしい美しさと
ご自分の操る色の
見事なきらめきを見て満足するのでした。
*
ですが
緑の木の精は 彩の女神に腹を立てました。
木は 緑の葉を持ってこそ木でいられるのです。
こんな姿に変えられて
木はただの芸術品としての存在のようです。
木の精は なんとかして
木は緑の葉をつけてこそ一番美しいのだと
女神にわかってもらう方法はないかと
鳥達と一緒に考えました。
しかし ご自分の色づけた彩に満足した女神は
少しもとりあってはくれません。
木の精は
風にそよいでる赤や青の葉をながめて途方にくれます。
*
そのとき
空から見ていたお日様が
木の精に声をかけました。
私にその色をくださいな。
あなたは 私の光で 葉を緑に染めてくれればいいのだから。
お日様は
木の葉を染めていた鮮やかなとりどりの色を
空がはちきれんばかりに吸い込みました。
色鮮やかだったアジサイの木の葉は
もとの青々とした緑に戻りました。
*
お腹一杯になったお日様は
青い空の雲の隙間から
ふっと満足げな息を一つ吐きました。
吸い込んだ彩が
風と空と
お日様の白い光の中に流れました。
空に流れた彩は
美しい虹になって大空に架かりました。
*
彩(いろ)の女神の操る色は
全て
この世で一番美しい色でした。
彩の女神はこの
お日様の作ったこの虹をとても気に入って
昼の空だけでもなく夜の空にも運んで オーロラを作りました。
星達は夜空の中で
女神が連れて来た鮮やかな光の帯を眺めて
お日様をとても尊敬したそうです。
*
アジサイはお日様に恋をしました。
だから
元は白かった花の中に
お日様が吸った色を少しだけ分けてもらいました。
アジサイの花が
虹色に似た色 空に似た色で咲くのは
そんな理由だからでしょう。
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